『外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術』に登場するビジネス書マンダラ(経営学独学するならこれだけ読んでおけばOK的なやつ)の1冊。
マネージャーになり、育成というものと真剣に向き合うようになった。育成と向き合うことで、そもそも"人が成長する"というのはどういうことなのか?(自分も含め)どうすれば人は成長するのか?ということに興味を持つようになった。
この本は、サブタイトルにあるように「内発動機付け」と「自律」がメインテーマ。ビジネスにおける上司と部下の関係だけでなく、教師と生徒の教育現場、医者と患者の医療現場での事例を参考に、いかに内発的な動機付けと自律的な支援をすることが大切かが説かれていた。
個人的に一番印象的だった内容は、メインテーマからは若干離れるけど12章あたりの「感情のコントロール」の話。
人間は「自我関与」を発達させているがゆえに、多くのことに脅威を感じるようにできている。「自我関与」とは、自分には価値があるという気持ちのこと。具体的には、知性的・ハンサム・芸術的などと思われたい、など。この価値が脅かされたと感じた瞬間に、反射的に脅威を感じ、恐怖や怒りの感情が生まれるらしい。
たとえば、強いと思われたい自我があると、弱虫と言われることは脅威となる。
逆に言うと、自分が他の誰かによる発言で恐怖や怒りの感情を持った時、自分の中にある何らかの価値が脅かされたということになる。脅かされた価値が何なのかを特定することができれば、感情的な状態をいはやく脱脂、冷静になれるかもしれない。
また、「そもそもその価値は自分にとって大事なのだろうか?」と問うことも大事と書いてあった。突き詰めた結果、それは思い込みや自意識過剰によって生み出された真の価値でないと分かった場合、今後それが脅かされることもなくなる。
言うは易しではあるが、感情コントロールのプラクティスとして面白いなとは思った。
読書メモ
医者と患者の関係 - 統制的な医者にかかる患者は、薬を飲まない - 自律的な支援ができるよう、医者をトレーニングする必要がある - 教育においても全く同じ - 教師が自律支援的であるか?をどう判断するか - 主語が生徒目線になっているか - 自律支援的であるためには、対象者の心理を深く理解する必要がある - 人間には、頭脳も精神的にも個人差が正規分布で存在している - 精神レベルは、当然自律性に影響を与える - ex. リンカーンは貧困ながら自律的に行動し大統領にまで登り詰めた - 環境はパーソナリティに影響を与えるが、逆に人は全ての環境を変えうることもできる - 世界が欲しいものを与えてくれるのを待つのではなく、自分から積極的になる - 自分の感情を調整すること - 人間には、反射的に感情が引き起こるようプログラムされている - ex. 前からものが飛んできたら、避けると同時に怒りの感情が生まれる - 人が多くのことに脅威を感じる理由は、「自我関与」を発達させているから - 自我関与 - 自分には価値があるという気持ち。知性的・ハンサム・芸術的などと思われたい、という気持ち。 - 自我関与があると、感情の人質になってしまう - 強いとみられたい自我関与があると、弱虫と呼ばれることは脅威となり、怒りを引き起こす - 脅威と解釈しなければ、すなわち自分の自我をそれによって脅かすことをしなければ、何者も自我に脅威を与えない - もちろん意図的な侮辱などで心痛むことはあるが、それでも。拒否される・捨てられる・解雇される、などの現実的な攻撃がなにも起こっていないのであれば、それほど脅威を受けなくてすむ - 刺激を異なって解釈することで、自分の感情をより効果的にマネージすることができる - = 自分の感情が揺れた時(主に怒り)、それは何かしらの自我が脅かされたということ。このとき、脅かされた自我を正しく認識することで一旦冷静になることができるし、さらに「本当にそれは価値のあるものなのか?」と自問することで、今後脅威に感じることすらなくなるかもしれない。こうやって感情のコントロールが上手になっていく - 感情を引き起こす行動 - 感情コントロールが下手で感情的なのはもちろんダメだが、一方で、何に対しても感情が動かないのも問題 - 人間は、感情から必要なものを得ているかどうかがわかる - 恐怖や怒りは、期待したり、ほっしたり、必要としているものを得ていないときと考えていることを示している - 人間は、幸福のみを求めているわけではない - 怒り・悲しみ・恐怖などの感情を求めて、映画を見たりエンタメを享受する - 生きることの本当の意味は、単に幸せを感じることではなく、さまざまな人間の感情を経験することである - テクニックの使用 - 人を動機付けたり、自律的にするテクニックなどない - 動機付けは、テクニックによってではなく内側から出てくるもの - 本気で変わろうとしている人に対してのみ、テクニックが有効