先日参加した「アジャイルコーチとスクラムマスターの集い」で出会った @10shinariさんから教えていただいた一冊。
集いでは、アジャイルコーチの方がティーチングとコーチングの使い分けについて、支援先の状況に応じて変化させるという話をされていました。
状況を正しく把握するために行うヒヤリングは、医者のイメージだと言われてたのが印象的でした。
軽症で絆創膏貼るくらいで済むならコーチング的に相手に気づきを与えて行動を促す。手術しないとどうにもならない場合はごりごりティーチングしながら引っ張っていく。そうやって使い分けるそうです。
対話型ファシリテーションとは、「相手に気づきを与え、行動を促すこと」が目的です。ピープルマネジメントにおけるコーチングに近いものだと解釈しました。
本書で言われている対話型ファシリテーションをひとことでいうと「WHYを聞くな、事実を聞け」です。
WHY質問で引き出せるのは相手の"考え"であり、"事実"からでしか真実にたどりつけない。
医者が患者にヒヤリングするのをイメージすると分かりやすいです。「どんな症状がありますか?」「いつからですか?」「その前はいつ同じ症状になりましたか?」「はじめてその発症したのはいつですか?」こうして、事実を集めて症状の原因を特定し、適切な対処法を導き出します。
この本を読んだ直後、社内のユーザーインタビュー経験豊富な同僚と話す機会がありました。彼ににインタビューで意識していることを聞くと「WHYを使わず事実を確認する」だそうで、本書のエッセンスと全く同じで驚きました。この手法は応用範囲がかなり広そうです。
しかし、WHYを使わず会話するのはとても難しいです。普段の業務ではイヤというほど「WHYを突き詰めろと」言われますし、自分もメンバーに言ってます。そことのギャップはとても大きいです。
ただ、訓練によって誰でも鍛えることは可能らしいので、実践しながら少しずつ会得していきたいです。
100ページくらいの薄い本でしたが、コーチングのエッセンスが詰まっていてとても良い本でした。